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アーティスト(The Artist、2011年、フランス映画) [映画]

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この映画は、昨年8月、飯田橋のギンレイホールで観た。その半年前の2月にアカデミー賞作品賞などを受賞したことは知っていたが、別にそれが動機だったというわけでは必ずしもない。おそらく、サイレント映画のスター男優から、トーキー映画の新人女優へという、技術革新と主役の交代劇が、今どきの時代状況や私自身の環境を連想させるものがあったからだと思う。

 

この映画を観たあと、高倉健主演の「あなたへ」を観たのは(20121031日付、当ブログ)、スター俳優が歳をとるとはどういうことだろうか、という興味がなかったといえば噓になる。また、DVDでチャップリンの「黄金狂時代」を観たのも(2013228日付、当ブログ)、この映画が一つのきっかけだ。

 

×   ×   ×

 

時代は1920年代後半のハリウッド、ジョージ・ヴァレンティンはサイレント映画の大スターだった。一方、若い女性ペピー・ミラーはジョージの追っかけだったが、そのダンスの才能や物怖じしない度胸が見込まれ、映画の脇役に登用される。楽屋でジョージのタキシードに自らの腕を通して、夢みるようにそれを抱き締めるペピーのシーンは実に秀逸だ(↓写真)。

 

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しかし、その後の二人の人生は好対照な方向に進む。時代はサイレント映画からトーキー映画に移りつつあり、ジョージの人気も落ちていく。彼はあくまでサイレント映画にこだわるが、自らが制作・出演したサイレント映画も大失敗に終わる。一方、ペピーはトーキー映画のスター女優としての地歩を固めていく。一度、レストランで二人は偶然背中合わせになったが、ジョージは、ペピーが同席していた業界関係者に対し「サイレント映画の時代はもう終わった」と言っているのを聞き、ショックを受ける。ジョージは妻に去られ、家財道具を手放し、お抱え運転手を解雇し、ついには自殺しようとする。しかし、そんなジョージを見捨てずに、陰からじっと見守っている女性がいた・・・。

 

×   ×   ×

 

この映画の大半は白黒のサイレント映画仕様だ。そして、筋書きも単純明快だ。しかし役者たちの演技は(犬も含め)まことに秀逸だ。それが、単純明快な筋書きに見事な陰影をつけている。ちょっと考えればわかることだが、白黒というのは何も白と黒の2色しかないのではない。白と黒の間に灰色という無限大の中間色があるのだ。人を感動させる表現手段としては、それで十二分かもしれない。

 


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