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一つ目小僧 [美術]

London2012Olympics_Wenlock.jpg 

この前、テレビを見ていたら、この夏に開催されるロンドンオリンピックのマスコット人形が登場していた。上の写真の右側、オレンジ色が入った人形はウェンロック(Wenlock)と呼ばれ、オリンピックのマスコット、左側のブルーが入った人形はマンドゥヴィル(Mandeville)と呼ばれ、パラリンピックのマスコットだ。ウェンロックという名前は、1850年、最初に近代オリンピック(の前身?)が開催されたイギリスの地名だという。ただし、公式的には夏季オリンピックの第1回大会は、1896年のアテネなので、国際オリンピック委員会がこうした説明を許容しているのか、疑問は残る。一方、マンドゥヴィルという名前は、1948年、最初にパラリンピックの先駆けが開催されたイギリスのストーク・マンドゥヴィル病院からとられたという。こちらは、確かな話のようだ。

 

このマスコット人形で最も気になるのは、いずれも一つ目小僧だということだ。公式ホームページ(https://mascot-games.london2012.com/)によると、この一つ目は「TAカメラレンズで、私が進むときに見えるすべての物をとらえます」(TA camera lens, capturing everything I see as I go.)ということらしい。「TAカメラレンズ」の“TA”とは“Thermal A”の略で、暗闇の中でも人や物を撮れるように、被写体から放射される熱に基づいて映像が生成される仕組みで、最近話題の防犯カメラなどにも使われている。つまり、今回のオリンピックマスコットは、防犯カメラを擬人化したものと言える。そう聞くと、無邪気にカワイイとばかりは思えない。テロ対策特殊部隊の任務も帯びているのかもしれない(笑)。

 

ところで、一つ目小僧の本家本元はなんと言っても日本だ(と思う)。われわれの世代では「ゲゲゲの鬼太郎」の父親、「目玉おやじ」がすぐに思い浮かぶ。こちらは、博識で生命力があり、鬼太郎に適切なアドバイスを与えるよき指南役だ。

Medama_oyaji.jpg 

 

パリのパレ・ド・トーキョーで、「あっ、これって目玉おやじのパクリじゃないの?」と一瞬思ったオブジェがあった。テオ・メルシエ(Théo Mercier)という独学のアーティストによる«Le mauvais œil»(悪い目)という2010年の作品だ(写真↓)。彼が、鬼太郎の「目玉おやじ」を知っていて、それに構想を得たということはたぶんなく、偶然の一致だろう。ただ、パレ・ド・トーキョーの隣にある市立近代美術館の、ある展示室内の壁に、サルバドル・ダリの言葉として«Ceux qui ne veulent imiter personne ne créent jamais rien.»(誰の模倣もしようとしない者は、決して何も創造しない)というフレーズが書かれていたのを思い出した。

2010_08_02Paris8937.JPG 

 

以上3つの一つ目小僧の中で私が最も好きなのは、なんと言っても「目玉おやじ」だ。愛嬌があってカワイイ、愛すべき存在だからだ。そういうキャラクターを生んだ日本の文化はやはり誇らしい。

 


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NO NAME

目玉モチーフなのにぱくりもなにも
by NO NAME (2014-01-09 17:54) 

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