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「コクリコ坂から」(2011年、日本映画) [映画]

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これは有名な宮崎駿監督の長男、宮崎吾朗監督による第二作だ(20117月公開)。「コクリコ」(coquelicot)とはフランス語で「ひなげし」を意味する。時代は東京オリンピックの開催を控えた1964年、舞台は横浜、同じ高校に通う松崎海(うみ)と風間俊(しゅん)の恋愛がメインストーリーだが、俊の父親問題や高校の部活施設(カルチェ・ラタンと呼ばれる明治時代竣工の古い建物)の取り壊し問題などがそれに絡まり合う。

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海の家は、祖父が医者をやっていた大きな屋敷で港を見下ろす高台にある。今は下宿屋をしているが、大学教授の母親がアメリカに行って留守なため、海が下宿人や残された家族の食事の世話をしている。毎朝、父親の遺影に(ひなげしの)花を供えるのと、「UW」旗(安全な航行を祈る)を庭のポールに掲げるのも日課だ。

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海は高校2年生だが、同じ高校の3年生に俊という好青年がいた。週刊「カルチェ・ラタン」の編集長をしている。二人は互いに惹かれ合うが、ほどなくして、俊は二人が共通の父親を持つことを知り、海を遠ざけるようになる。そして、そのことを海に伝える。

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一方、高校では古く汚く一部生徒の根城と化した部室棟「カルチェ・ラタン」を学校側が取り壊そうとする動きが本格化し、生徒会長の水沼や俊らの反対運動が盛り上がる。海は、カルチェ・ラタンの清掃を提案し、多くの女生徒を動員した結果、カルチェ・ラタンは見違えるほどきれいになった。それでも考えを変えない学校側に対し、水沼、俊、海の3人は上京して理事長(出版社の社長)に直訴する。理事長はカルチェ・ラタンを見学することを約束する。その帰り、横浜・山下公園近くの電車の停留所で、海は俊に「それでも好きです」と告白する。

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翌日、カルチェ・ラタンを見学した理事長は生徒たちの歓迎を受け、大いに感激する。彼らは、「紺色のうねりが」という校歌(寮歌)風の歌を合唱し始める。宮崎駿、宮崎吾朗の作詞だが、原案は宮沢賢治だ。この映画が公開されたのが「3.11」の4ヵ月後だったことを考え合わせると、涙が止まらない。

 

♪ 紺色のうねりが

のみつくす日が来ても

水平線に君は没するなかれ

 

♪ われらは山岳の峰々となり

未来から吹く風に頭(こうべ)をあげよ

・・・

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一方、俊の父から、俊の本当の父親を知る小野寺善雄が今、出航を控えて港にいるから、至急駆けつけるようにとの連絡が入る。小野寺は死んでしまった二人の親友の息子と娘が立派に成長した姿を見て、深く感動するのだった。

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*   *   *

 

私は、こういう映画に弱い。「コクリコ坂から」の公式サイト(http://kokurikozaka.jp/index.html)の中で、宮崎駿は「「コクリコ坂から」は、人を恋()うる心を初々しく描くものである。少女も少年達も純潔にまっすぐでなければならぬ。異性への憧れと尊敬を失ってはならない。出生の秘密にもたじろがず自分達の力で切りぬけねばならない。それをてらわずに描きたいと述べているが、その通りの作品に仕上がっていると思う。ただ、私のような「年寄り」ではなく、若い人たちが見たらどう思うのか、先週末、学部生のゼミ合宿の際、DVDを見せて感想を聞いてみた。

 

・ まず、1960年代の物理的な環境やモノ、生活様式などで今と何が違うか、みんな適切に指摘できた。もっともオート三輪もガリ版刷りも実際に見たり経験したりした学生はいなかったが。

・ 高校生の考え方や行動面ではどうか。この映画には、「背伸びした」哲学青年や文学青年が出てくるが、最近はそうした学生はいないらしい。余暇は何をして時間を過ごすのかというと、カラオケ、ゲームセンター、ファミレスでのおしゃべり・・・、ちょっと寂しい。

・ 全校集会を開いて学生の意見をまとめ、学校側に伝える、といったことは今ではすっかりなくなってしまったものと思っていたが、20数名中2名は高校時代、そうした経験をしていた。

・ 最後に、私のようにこの映画を観て涙がこぼれたという学生は、・・・しっかり者の女子学生1名のみだった。

 

やはり世代、年齢による違いは大きいと再認識させられた(苦笑)。

 


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