SSブログ

東芝の白熱電球製造中止(2010年3月) [経済]

Toshiba_led_0324.jpg 

先週、東芝のCSRについて話を聞く機会があった。その中で、講師の方が何枚か広告写真を見せてくれたが、最も印象深かったのが上の写真だ。2010317日、東芝は一般白熱電球の製造を中止したが、その際、新聞に掲載された広告で、201012月には日経広告賞の最優秀賞(グランプリ)を受賞した。多くの人にはいささか旧聞に属することかもしれないが、私は2010年当時フランス在住だったため、この広告やグランプリ受賞のことは知らなかった。しかし、特に予備知識なく、素直に見ても、万感の思いが込められた優れた広告だと思う。写真の下に書かれたコピーもよい。

 

「日本初の一般白熱電球は、東芝の創業者の一人、藤岡市助が1890年に用化しました。暗闇にまばゆく光る電球の明るさに、人々は「世界から夜が消えた」と喜のをあげたそうです。それ以120年の間、白熱電球はいつの時代も私たちの暮らしをあたたかく照らしてきました。

しかし、時が流れれば、時代もわります。2010年3月17日、東芝は現在直面している地球暖化への影響を考え、一般白熱電球製造120年の史に幕を下ろしました。

創業事業の一つである白熱電球には、強い思い入れがありました。しかし、白熱電球を日本で初めてつくった社として、どこよりも早く新しいあかりへと切り替えていく決意を示すことが、大切だと思ったのです。

私たちが藤岡市助から受けぐべきなのは、白熱電球ではありません。チャレンジスピリットです。一般白熱電球の製造は中止しますが、電球への思いは今後、LED電球や電球形光ランプなど省エネタイプの商品に注いでいきます。

皆さま、120年間ありがとうございました。そして、これからもよろしくお願いします。」

 

私は保守的な人間だが、決して頑迷固陋な旧習墨守主義者ではないつもりだ。問題は、変えるべきことと変えざるべきことの見極め、そしてかつてのイノベーターたちへのリスペクトであろう。後者のためには「鎮魂の儀式」も必要だ。冒頭の東芝の広告では従業員がそろって一礼しており、そのことを見る者に強く訴えかける。そのことだけでも十分CSRに値すると思う。

 


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

Facebook コメント

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。