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「ソフィーの選択」(Sophie’s Choice、1982年、アメリカ映画) [映画]

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先日、古いビデオを整理していたら「ソフィーの選択」が出てきた。この映画は、日本で封切られたとき映画館で見て、ペーパーバックの本も買ったくらい感動したもので、その後、テレビで放映されたときにビデオに録画したのだった。当時の私は、あまり映画は見ない方だったが、「クレイマー、クレイマー」(Kramer vs. Kramer1979年)、「ディア・ハンター」(The Deer Hunter1978年)など、なぜかメリル・ストリープ(Meryl Streep)の出る映画はよく観ていた。特に「ディア・ハンター」は、映画館だけで3回は観たと思う。

 

さて、今回、「ソフィーの選択」のビデオを改めて観たが、20代の前半に最初に観たときより、冷静に見られたような気がする。既にストーリーを知っていたからということもあるが、30年間という月日の経過によるさまざまな経験、選択の積み重ねによるところが大きいと思う。それがよいことかどうかはわからないが・・・。

 

  ×   ×   ×

 

映画は、第2次大戦後の1947年、愛称スティンゴ(Stingo)という二十歳そこそこの青年が、作家を目指してアメリカの南部からニューヨークに上京してきたところから始まる。彼はブルックリンの「ピンクの館」と呼ばれる下宿屋に入居するが、上の階には、ネイサン(Nathan)とソフィー(Sophie)という奇妙なカップルが住んでいいた。「奇妙」というのは、二人は派手に喧嘩したかと思うと、すぐに仲直りして、イチャイチャし出したりするからだ。ネイサンはユダヤ人で大手製薬会社の研究員だと言い、ソフィーはポーランド出身のアウシュビッツ経験者だった。

 

ともあれ、この二人にスティンゴを加えた3人は親友となるが、それはスティンゴが二人の知られざる側面を知っていく過程でもあった。例えば、ソフィーはユダヤ人ではなく、彼女の父親は反ユダヤ主義の学者だった。そして、いろいろと知りたがるスティンゴに対して、「真実はつねに理解を助けるとは限らない」と煙幕をはる。奇行が目立つネイサンも、医者をしている彼の兄によれば、生物学研究者というのは嘘で、「妄想性精神分裂」にかかっているのだという。

 

映画の後半で、ネイサンから危害を加えられるのを恐れ、スティンゴとソフィーは駆け落ちし、そこでスティンゴはソフィーにプロポーズする。しかし、ソフィーは「結婚はできない」と言い、これまで誰にも話さなかった秘密を語る。彼女は二人の子供(息子と娘)と一緒にアウシュビッツに連れて行かれたが、そこで収容所のドイツ人軍医から、二人の子供のうち一人は手許に残してよいが、もう一人は焼却炉に行かねばならない、どちらかを選ぶようにと言われたのだ。

 

・ドイツ人軍医: 「お前はポーランド人で、ユダヤ人じゃない。お前には選択する権利がある。」

・ソフィー: 「私には選べません」(と何度も叫ぶ)。

・ドイツ人軍医: (子供を二人とも連れて行くよう部下に命令する。)

・ソフィー: 「女の子を連れてってー。」

 

この話をスティンゴに語り、一緒に寝た翌朝、ソフィーはネイサンの元に戻り、二人は青酸カリで心中した。

 

×   ×   ×

 

タイトルの「ソフィーの選択」が、アウシュビッツ収容時の恐ろしい「選択」を指しているのは明らかだ。彼女がネイサンに必死に寄り添っていこうとするのも一つの「選択」ではあるが、それはアウシュビッツでの自分の選択に対する贖罪意識からかもしれない。そう考えると、この映画は選択しようがないことを「選択」させられた人間の悲劇を描いている。

 


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