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映画Welcomeと、男心について [映画]

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「女心と秋の空」など、女心の難解さは何かと話題になるのに対し、男心はあまり話題にもならず、単純明快と捉えられている節はないだろうか。もっともこれは私が男であるが故のバイアスであって、女性は逆の印象を持っているのかもしれない。ちなみにグーグルで「女心」を検索すると3,540,000件、「男心」は2,670,000件ヒットした(2012416日午前07分)。どうも私の印象ほどの差はないようだ。こうしたことは、どこかのジェンダー学者が既に研究しているかもしれない。

 

どうしてこんなことを思ったかというと、昨日紹介したブログ記事、映画「Welcome」のDVDパッケージに、ちょっと気になる宣伝文句が載っていたからだ。

 

«Pour impressionner et reconquérir sa femme, Simon, maître nageur à la piscine de Calais, prend le risque d’aider en secret un jeune réfugié kurde qui veut traverser la Manche à la nage.»

妻の気を引き、彼女を取り戻すために、シモン(カレのプールの水泳教師)は、英仏海峡を泳いで渡ることを望むクルド人難民の若者を密かに助けるというリスクを冒す。」

 

このコピーはちょっと酷くないか。シモンがビラルを助けたのは、自分自身の損得を考えた功利主義的な計算の結果だったのか。どうして、そう単純に決めつけることができるのか。水泳コーチとしての職業意識からビラルを熱心に指導したのではないか、自分が成就できなかった恋愛を若いビラルには是非成就して欲しいという利他的な動機があったのではないか、仮に利己的な動機だとしても、それは自分にも人間らしい他者へ共感があることを示したいという自尊心の発露だったのではないか、・・・。さまざまな解釈が可能だし、たぶん、シモンの心の中ではさまざまな考えが生まれ、行き交い、あるものは消えていったことと思う。それを、こんな風に決めつけてはダメだ。いくら宣伝のためでも。

 

*写真は、フランス、トゥルーズのサン・セルナン・バジリカ聖堂にて。

 


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