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パスカル「パンセ」-宗教 [パンセ]

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「パンセ」は「キリスト教弁証論」の書である。その半分近くは、それなりの人生経験があって「考える」ことを厭わなければ十分堪能できるが、残り半分強は、宗教心(とりわけキリスト教のそれ)に乏しい私などは「ついて行けない」と感じることも多い。例えば、つぎのような一節だ。

 

「もし人が、尊大と野心と邪欲と弱さと悲惨と不正とに自分が満ちていることを知らなかったら、彼はよほどの盲人である。またもし知っていながら、それから救われることを願わないならば、そういう人についてなんと言うべきであろうか。そうだとしたら、人は人間の欠点をかくもよく知っている宗教を尊敬するほかに、またそれに対してかくも望ましい救治法を約束する宗教の真理を求めるほかに、何をなしえるであろうか」(B450S491L595)。«Si l’on ne se connaît plein de superbe, d’ambition, de concupiscence, de faiblesse, de misère et d’injustice, on est bien aveugle. Et si, en le connaissant, on ne désire d’en être délivré, que peut-on dire d’un homme... ? Que peut-on donc avoir que de l’estime pour une religion qui connaît si bien les défauts de l’homme, et que du désir pour la vérité d’une religion qui y promet des remèdes si souhaitables ?»

 

しかし、「パンセ」のこうした記述への違和感にも関わらず、ヨーロッパを旅するとき、私はしばしば教会を訪ね、そこにたたずんだ。宗教心に乏しく、いわんやキリスト者でもないのに不思議だ。

 

*写真は、フランス、ナントのサン・ピエール・サン・ポール大聖堂にて。

 


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