SSブログ

原田泰治の絵 [美術]

Harada_Taizi_Yuyake.jpg 

私は、原田泰治(たいじ)氏の絵が好きだ。自宅のリビング兼ダイニングに、ネットで購入した同氏の直筆サイン入りの作品「夕やけ」を掛けている(写真)。私がお金を出して買った唯一の絵だ。これは、宮崎県西臼杵郡高千穂町での取材をもとに描いたもので、氏の説明に曰く、「秋の日は暮れかかり、家路をたどるばあちゃんと孫の足もとにはススキが揺れている。そして名残を惜しむように群れ飛ぶ赤とんぼ。神話の里 高千穂の、ため息の出るような日本の原風景である。」

 

「日本の原風景」とあるように、この絵のような光景は、かつては日本の多くの田舎で見られた。私も小学校入学前後(昭和30年代の終わり)、I県のN町という田舎に住んでいたが、秋の夕暮れどき、遅くまで外で遊んだ帰り道、この絵にあるような光景を目にした記憶がある。

 

「ただいま」という広島県山県郡芸北町での取材に基づいた絵もデジャヴユ(既視)感がある(写真↓)。N町にも田んぼがたくさんあり、田植え時期には、一家総出で作業をするため、平日でも小学校が休みになったのを覚えている。

Harada_Taizi_Tadaima.jpg 

 

そんなわけで、諏訪に行くときは必ず原田泰治美術館に立ち寄る。展示作品はそれほど多くないが、何度観ても飽きない。今回の訪問はたぶん4回目だが、時間的余裕があったので、80分間の紹介ビデオを最初から最後まで食い入るように全部見た。多くの感動的な話やエピソードがあったが、そのうちの一つを紹介しよう。

 

原田少年が諏訪の定時制高校に通っていたとき、ホームルームの時間に、Aさんという女生徒が弁論大会に出るよう指名されたことがあった。しかし、Aさんは強度の赤面症で、「弁論大会に出なければならないのなら、学校を辞める」とまで言って断る。周りの生徒は、「決まった以上は、出るべきだ」と責めたてる。原田少年は、この少女に淡い恋心を抱いていたこともあり、思い立って「Aさんに弁論大会に出ろというのは、足の不自由な自分にマラソンに出ろというようなものだ。弁論大会には俺が出る」と啖呵を切った。結局、原田少年は長野県の弁論大会に出て、このエピソードについて話し、優勝した。それ以降、自分でも賞をもらえるようなことが出来るんだと自信を持つようになったという。多くのことを考えさせてくれる良い話だ。

 


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

Facebook コメント

トラックバック 0

藤城清治の影絵八島ヶ原湿原 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。