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パスカル「パンセ」-知的誠実さ、ということ [パンセ]

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前回のブログ記事(510日、「フランス大統領選-2つの「成長戦略」」)では、スタンフォードの経済学者、ジョン・マクミランの次の言葉を引用して、「知的誠実さ」が出ていると評した。

 

「ショック療法という処方は、改革事業を著しく過小評価している。経済は複雑で、予測しがたいシステムである。皮肉なことに、ショック療法はそれ以前の国家統制と同様に、経済が実際にそうであるよりも管理に適したものであることを前提としている。・・・経済全体の設計は単一市場の設計とは異なるものである。経済全体の設計においては、どこに向かおうとしているのかも分からないし、どのようにそこに行き着くのかも分からないのである」(『市場を創る』NTT出版、2007年、p. 282)。

 

パスカルも「パンセ」の中で、自然現象にせよ、社会現象にせよ、一部から全体を語ろうとするなら、よほど慎み深くならなければならない、と語っている。慎み深くなりすぎて何も言えないのも問題だが、少なくとも学者やクオリィティー・ペーパーの記者が扇情的なことを書いたり、言ったりするのは論外だ。

 

「あらゆるものは、われわれに有益につくられたものでも、われわれに致命的となりうる。たとえば、自然の世界では、壁はわれわれを殺しうるし、階段も踏みはずせば、われわれを殺しうる」B505S756L927)。«Tout nous peut être mortel, même les choses faites pour nous servir, comme dans la nature les murailles peuvent nous tuer, et les degrés nous tuer, si nous n’allons avec justess.»

 

「ごく小さい運動も全自然に影響する。大海も一つの石で変動する。そのように、恩恵の世界でも、ごく小さい行為がその結果をすべてのものに及ぼす。ゆえに、すべてのものが重要である」(B505S756L927)。«Le moindre mouvement importe à toute la nature : la mer entière change pour une pierre. Ainsi dans la grâce la moindre action importe pour ses suites à tout, donc tout est important.»

 

「どんな行為でも、行為そのもののほかに、われわれの現在、過去、未来の状態と、それが影響して起こる他の状態とを観察し、すべてそれらのものの関係を見なければならない。そうすれば、人はよほど慎みぶかくなるだろう」(B505S756L927)。«En chaque action il faut regarder, outre l’action, à notre état présent, passé, futur, et des autres, à quoi elle importe, et voir les liaisons de toutes ces choses. Et lors on sera bien retenu.»

 

*写真は、パスカルの生地、クレルモン・フェランにあるノートルダム・デュ・ポールバジリカ聖堂。

 


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