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パスカル「パンセ」-民衆の愚かさと弱さ [パンセ]

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フランス大統領選挙におけるFN(国民戦線)の躍進、日本における二大政党の閉塞感やH新党の動き、OZ裁判を巡る権力闘争など、政治の世界が騒がしい。政治について「パンセ」は何を言っているか。取りあえず、次の2つを引用しておきたい。

 

「王たちの権力は、民衆の理性と愚かさとの上に基礎を置いている。そしてずっと多く愚かさの上にである。この世で最も偉大で重要なものが、弱さを基礎としている。そしてこの基礎は、驚くばかり確実である。なぜなら、それ以上のこと、すなわち民衆は弱いであろうという以上のことはないからである。健全な理性の上に基礎を置いているものは、はなはだ基礎が危い。たとえば知恵の尊重などがそれである」(B330S60L26)。«La puissance des rois est fondée sur la raison et sur la folie du peuple, et bien plus sur la folie. La plus grande et importante chose du monde a pour fondement la faiblesse. Et ce fondement-là est admirablement sûr, car il n’y a rien de plus sûr que cela que le peuple sera faible. Ce qui est fondé sur la saine raison est bien mal fondé, coome l’estime de las sagesse.»

 

「圧制とは、自分の次元をこえて全般的に支配しようと欲するところに成り立つ。強いもの、美しいもの、賢いもの、敬虔なものは、それぞれ異なった部面を持ち、おのおの自分のところで君臨しているが、他のところには君臨していない。そして、時おり彼らはぶつかり、強いものと美しいものとが、愚かにもどちらが相手の主人になるかと戦う。なぜなら、彼らの支配権は、類を異にしているのだからである。彼らは互いに理解しない。そして彼らの誤りは、あらゆるところに君臨しようと欲することにある。何ものにも、そんなことはできない。力にだってできはしない。力は学者の王国では、何もできない。力は外的な行動においてしか主人でない」B332S92L58)。«La tyrannie consiste au désir de domination universel et hors de son ordre. Diverses chambres, de forts, de beaux, de bons esprits, de pieux, dont chacun règne chez soi, non ailleurs, et quelquefois ils se rencontrent. Et le fort et le beau se battent sottement à qui sera le maître l’un de l’autre, car leur maîtrise est de divers genre. Ils ne s’entendent pas. Et leur faute est de vouloir régner partout. Rien ne le peut, non pas même la force. Elle ne fait rien au royaume des savants. Elle n’est maîtresse que des actions extérieures.»

 

*冒頭の写真は、2012427日付Le Monde紙の20面、«Ce que révèle l’essor du Front national»FNの飛躍が明らかにしたこと)という記事にあった挿絵。その中に«un pavé dans la mare...»(直訳は「池の中の石畳道路」。「青天の霹靂」を意味する比喩表現)とある。

 


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