SSブログ

パスカル「パンセ」-考えることの偉大さと愚かさ、そして愚かさを知ることの偉大さ [パンセ]

2010_08Pascal.jpg 

「考えが人間の偉大さをつくる」(B346S628L759)。«Pensée fait la grandeur de l’homme.»というのが、パスカルの基本的な思想だ。しかし、彼は「考える」ことが手放しで素晴らしいとは言わない。

 

「人間の尊厳のすべては、考えのなかにある。だが、この考えとはいったい何だろう。それはなんと愚かなものだろう。・・・考えとは、その本性からいって、なんと偉大で、その欠点からいって、なんと卑しいものだろう」(B365S626L756)。«Toute la dignité de l’homme est en la pensée. Mais qu’est-ce que cette pensée ? Qu’elle est sotte ? ... Qu’elle est grande par sa nature, qu’elle est basse par ses défauts.»

 

そして、逆説的だが、こうした愚かさ、惨めさを知ること自体が、人間の偉大さの証であるという。

「人間の偉大さは、人間が自分の惨めなことを知っている点で偉大である。樹木は自分の惨めなことを知らない」(B397S146L114)。«La grandeur de l’homme est grande en ce qu’il se connaît misérable. Un arbre ne se connaît pas misérable.»

 

「人間の偉大さは、その惨めさからさえ引き出されるほどに明白である。なぜならわれわれは、獣においては自然なことを、人間においては惨めさと呼ぶからである」(B409S149L117)。«La grandeur de l’homme est si visible qu’elle se tire même de sa misère. Car ce qui est nature aux animaux, nous l’appelons misère en l’homme.»

 

パスカルは、ある事象(この場合は「考える」)をつねに複眼的に見ようとしている。私が「パンセ」に惹かれる理由の一つだ。

 

*写真は、フランス、クレルモン・フェランのパスカル通りにて。

 

 


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

Facebook コメント

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。