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モネ「舟遊び」(1887年)、「日傘の女」(1886年) [美術]

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前回、西洋史のK先生の思い出について語ったので、今回も「思い出」つながりで書きたい。フランス語で「覚えている」、「思い出す」という意味の動詞は«se souvenir (de qn/qc)»だ。名詞としての«souvenir»には、「思い出」、「みやげ」などの意味がある(英語のsouvenirも明らかに同根だ)。語源としては、«sou(s)»「下に」+«venir»「来る」、すなわち「意識の下に来ているもの」、「ちょっとしたきっかけで意識に上るもの」といった感覚だろうか。

 

話が、時間的、空間的にあちこち飛ぶことを予めお許し願いたい。

 

先日、東京に珍しく雪が降った日の朝、上野の国立西洋美術館に行った。特に理由があったわけではなく、何となく急に行きたくなったのである。常設展のみで、しかも雪の日の午前中ということで、ゆっくりマイペースで見て回ることができた。いくつか興味を引く画があったが、モネの「舟遊び」(1887年)もその一つだ。この画は、入場チケットにも使われていたことからすると、たぶんこの美術館の一押しなのだろう。左半分に切り取られた舟の向こうの「明」と手前の「暗」の対比が印象的だ。

 

この画を見て直ぐに思い出したのは、同じ色使い、同じようなシルエットの貴婦人を描いた「左向きの日傘の女」(1886年)だ。2年前、パリのオルセー美術館でそれを見た瞬間、「あっ、これはC子ちゃんの好きな画だ」と思った。

 

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C子ちゃんというのは、私の中学時代の同級生で、卒業以来30年間以上、ずっと会う機会がなかった。それが、数年前、偶然が重なって東京で再会したのだった。聞けば、西日本のある町で幸せな家庭を築き、3人のお子さんを立派に育てているとのことだった。そんなC子ちゃんが、私の渡欧前、年賀状代わりに絵はがきをくれた。それは、「右向きの日傘の女」(1886年)だった。「私が高校の美術の授業で観て感動したこのモネの作品・・・」、「<日傘の女性>、私が一番好きな絵です」・・・とある。

 

オルセーで見た画と、女性の向きが逆だということは、今回、このブログ記事を書くときにチェックして初めて気づいた。(ただし、C子ちゃんの絵はがきの画もオルセー美術館所蔵である。)人間の記憶のつながりと曖昧さ、・・・に微苦笑した。

 


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