ピカソ「鳩を抱いた子供」(1901)-20世紀の予感 [美術]
2010年6月初めの週末、パリからロンドンまで小旅行をした。その際、立ち寄ったナショナル・ギャラリーで、ある1枚の画に釘付けになった。順路の最後の方の部屋にあったピカソの「鳩を抱いた子供」(1901)だ。解説文にはつぎのようにある。
Child with a Dove, 1901.
This was painted in Paris at a transition point in Picasso’s career. The background anticipates the predominant tonality of images that mark his Blue Period. The dove and child’s plaything heighten the sense of fragile innocence. この画は、ピカソのキャリアの転換点にパリで描かれた。背景は、彼の「青の時代」を特徴づける全幅の色調を予感させる。鳩と子供の玩具は壊れやすい純粋無垢という感じを引き立たせる。
なぜ釘付けになってしまったのか。何よりもこの少女の寂しげな、どこか儚げな様子が気になった。白い鳩を大事そうに抱いているが、無邪気に喜んでいるという風ではない。子供とは言え、髪がショートカットなのもこの時代の画のモデルとしては珍しいであろう。1901年と言えば、20世紀最初の年。2度の世界大戦を含む多くの悲惨があり、平和のもろさを再三再四思い知らされた20世紀をあたかも予感させるかのような画である。
夏目漱石は、イギリス留学の途上、華やかなパリ万博(1900年)に立ち寄り、ロンドンに着いてまもなく、ヴィクトリア女王の死去(1901年1月)に遭遇する。彼は「新世紀の開始、はなはだ幸先悪し」と日記に記したそうだが(NHKスペシャル「映像の世紀」第1集)、優れた感性は時代の予知能力にも優れているのだろうか。
どこでご覧になったのですか?見に行きたいものです。
by キノコ (2013-08-21 19:53)
キノコさま。コメント有り難うございました。この絵は、イギリス、ロンドンの美術館「ナショナル・ギャラリー」(The National Gallery)にあります。
そのサイトに、この絵を見てどんなストーリーを思い浮かべたか、一例が載っていました。
http://www.nationalgallery.org.uk/learning/inspired-by-the-collection/writing/graham-hodge-picasso
いろんな想像が可能だなと思って感心しました。
by haofu (2013-09-19 17:58)