ローザンヌの「ソニー坊や」 [スイス]
スイスのローザンヌ(Lausanne)は坂の街だ。中央駅からレマン湖に向かって降りていくと、住宅街を経て、高級ホテルがいくつかある湖畔に達する。オリンピック博物館もその並びだ。一方、駅から坂を上っていくと、商業地区を経て市庁舎、ノートルダム大聖堂(写真↓)等がある旧市街に達する。
商業地区の坂道を上っていたとき、小さな電気屋さんがあり、そこに珍しいものを見つけた。「ソニー坊や」だ(冒頭の写真)。何せ、「ナショナル坊や」すら消えてしまった日本だ。いわんやソニー坊やとなれば相当なレアものだろう。
それが、なぜ、スイスのローザンヌに「現役」でいるのか? 最初に想い出したのは、NHKの「プロジェクトX」で昔やっていた、ソニーのセールスマンがヨーロッパ市場で苦労してトランジスタラジオの売り込みに成功する話だ(2000年12月12日、第33回 「町工場、世界へ翔ぶ(トランジスタラジオ・ソニー)」)。確か、クリスマス商戦で、地元のお客さんたちがソニー製品をクリスマスプレゼントとして次々に買い求めるのを見たセールスマンが、感動で涙するというシーンがあった(もちろん、例のナレーションつきで)。ともあれ、彼らの努力がこうして今も生き残っているのは確かだろう。もっともこの頃ヨーロッパで目立つのは「SAMSUNG」、「LG」などだが・・・。
もう一つ思ったのは、スイス人の物持ちの良さだ。ジュネーヴでは、粗大ゴミ置き場に出された家具などを自家用に持ち去って行く人たちを頻繁に見かけた。別に貧しそうな人ではなく、ちゃんとした身なりの人たちばかりだ。私の印象では、スイス人は倹約家が多い。
そこで新たな疑問が生ずる。みんなが貯蓄に勤しんで消費しなければ、どうやって経済は成長するのか? この点で、スイス人は実に巧みな「ビジネス・モデル」を築いたものだと私は思う。彼らの有効需要創出策とは何か、改めて書きたい。
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