釧路(1)-幣舞橋の夕景 [日本]
釧路、という名前には何かしら旅情をそそるものがある。北海道の中でも最も北海道らしいと言われる道東の中心都市、そして豊かな自然を背後に持つ港町。私が以前訪れたのは30数年前だが、当時から既に経済的には苦境に陥っていた。最近読んだ増田寛也(編著)『地方消滅』の中でも、釧路圏は「周辺地域から拠点都市への人口流入が少なく、一方で拠点都市から他地域への流出が多く、拠点都市が「大幅な流出超過」となっている地域」(p. 106)と、北海道の地域圏の中でも最低の評価となっている。北洋漁業の減退や太平洋炭礦の閉山など主力産業の衰退が主因だという。
一方で、ラムサール条約にも登録された広大な釧路湿原や日本で唯一のタンチョウの生息地があるなど観光資源は豊富だ。最近は、幣舞橋(ぬさまいばし)から釧路港を望んで見られる日の入りが「世界三大夕日」の一つとも言われているようだ。どこまで国際的な認知があるか知らないが、確かにこの夕日は素晴らしい。それにも関わらず衰退しているというのは、観光だけでは食べていけない、ということか。
もとより、こうした難しいことを考えて釧路に行こうと思ったわけではない。ある金融機関の広報誌が釧路の観光特集記事を載せていたのをたまたま目にして、無性に行きたくなったからだ。当初は3月のはじめに予定を組んだが、当日、雪のため飛行機が欠航となり、3月の終わり(26・27・28日)に再調整したのだった。3日間とも暖かく好天に恵まれたが、特に初日は快晴に近かった。これで幣舞橋の夕日の写真を撮らない手はない。
翌日、市内を歩くと、公共施設などは新しく立派なものがいくつかあったが、人通りは少なく、既に閉鎖された商業ビルもいくつかあった。この愛すべき街に何とか再生してもらいたいと思いながら歩いた。
<幣舞橋の夕景>
<釧路市内、和商市場、釧路丹頂市場>
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